液化天然ガス(LNG:Liquefied Natural Gas)は、ガス田や油田から産出される天然ガスを約-162℃に冷却し、長距離輸送や大量貯蔵に適した液体にしたものです。液化過程において不純物が除去されるため、燃焼時に大気汚染の原因となる硫黄酸化物(SOX)を排出せず、また地球温暖化の原因とされるCO2の排出量や窒素酸化物も抑えることができる、とてもクリーンなエネルギーです。
LNGの主な用途は、火力発電用や都市ガス用ですが、優れた環境特性を有するLNGを、舶用燃料として利用する動きが世界的に広まっています。
Q.
今後船舶燃料は重油からLNG燃料に転換していくのでしょうか?
現時点で、LNG燃料以外の低/脱炭素燃料の候補としてはバイオ燃料・水素・アンモニア・蓄電池等の研究開発がされていますが、市場に十分普及しており、舶用燃料として既に実用化段階に入っているのはLNG燃料のみです。そのため、今後20-30年の海運業界を見据えた際、必然的にLNG燃料への転換は起こってくると考えています。
Q.
全ての船舶でLNG燃料が使用できるのでしょうか?
LNGを船舶燃料として使用するためには、従来の重油を燃料とする船舶とは異なる設備が必要です。具体的には、天然ガスを燃料とするエンジンやLNGを保管するタンク、補液用のホース、結合装置などが挙げられます。
Q.
なぜ、LNGが船舶燃料として話題になっているのでしょうか?
2020年より船舶からの硫黄排出量の大幅な削減を義務付けるIMO Global 0.5% Sulphur cap規制が施行され、2025年より温室効果ガスを最大30%削減することを求めるIMO EEDI Phase 3 が導入予定です。 このような環境規制が強化される中で、LNG燃料はSox排出量をほぼゼロとし、従来の船舶用燃料と比較してCO2排出量を約30%、Nox排出量を最大80%削減可能であり、優れた環境性能を保持していると言えます。
Q.
”ガス”というと危険なイメージがあるのですが・・・?
天然ガスは、空気よりも軽く上方に拡散するという特徴があり、また自然発火温度も高い為、安全性は高いエネルギーです。
Q.
LNGと重油の主な違いは何ですか?
LNGは液化天然ガスであり、気体状の天然ガスを-162度まで冷却し液体にしたもの(容積は気体:液体≒600:1)です。一方、重油は、原油を分留することで取り出される液体状の燃料を指します。LNGは、硫黄酸化物がほぼゼロ、CO2排出量や窒素酸化物も重油等他燃料と比較しても少なくクリーン燃料と言われてます。